「空き家」を持っていると大損する!?
知らぬ間に法改正されていた
全国で放置空き家が問題視される中、
国会では「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が平成26年11月に成立しました。
空き家対策法について
埼玉県の空き家数は約34.6万戸、空き家率は約10%という状況です
平成27年2月26日に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年 法律第127号)」(以下、“空き家対策法” と呼びます)は、一部条文の施行が留保されていましたが、同年5月26日から完全施行されました。
これを受けさいたま市も、空き家の活用・適正管理に本格的に乗り出しています。
空き家対策法の目的?
空き家は危険!
建物は時間とともに必ず朽ちていきます。老朽化の結果、付近や周辺に悪影響をもたらす可能性は十分にあります。
たとえば次のような点で、空き家がもたらす悪影響が懸念されています。
空き家の特徴 | 懸念される悪影響 |
---|---|
全体の傾き、主要構造の腐食 | 倒壊による被害 |
屋根・外壁の剥離 | 飛散による被害 |
設備、門・塀の老朽化 | 脱落や倒壊による被害 |
浄化槽の破損、汚水の流出 | 衛生上の影響 |
ごみ等の放置、不法投棄 | 衛生上の影響、害獣・害虫の増殖 |
景観計画に不適合 | 景観上の影響 |
窓ガラスの破損、門扉の破損 | 不法侵入の危険 |
植栽の不整備 | 害獣・害虫の増殖、道路通行上の影響 |
これらの特徴と悪影響は複合的に発生し、放置される期間が長ければ危険度が増すことを考えると、古い空き家ほど対策が必要なことを示しています。
空き家は増え続ける!
・人口は減少するのに世帯数は2019年まで増加?!
既に人口減少は始まっていますが、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、世帯数は2019年にピークを迎え、それから徐々に世帯数が減ると見込まれています。
・親は介護施設に
高齢者比率が高まるにつれ、親が介護施設に入って実家が空き家になっていきます。
・建物があるだけで固定資産税が優遇
建物がある土地は、土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇される特例があります。
・新築物件のニーズが高く、中古物件の価値が低い
・解体費用の負担
国の法律が地方の空き家対策を支援
空き家には悪影響があり、さらに空き家が増えることを考慮すると、国策として空き家対策を進める必要性が高まってきました。
そこで、特別措置法を制定して、市町村の空き家対策に法的根拠を与えたのです。
空き家対策法では、具体的に市町村が行う施策までは定めておらず、基本方針を示したに過ぎません。しかし地方は条例で対策が行いやすくなりました。
また、空き家の放置を抑制する効果(後述する税制上の措置)が見込まれています。
具体的に何が変わるのかは、これから詳しく説明するので確認していきましょう。
空き家対策法の内容とその影響
空き家対策法が施行されたからといって、すぐに全国の空き家を一斉に強制撤去するような強行策がとられるわけではありません。
空き家であっても所有者の財産であり、勝手に撤去することは財産権の侵害になるからです。
措置1:解体の通告や強制対処が可能に
空き家対策法では、著しく保安上の危険となるおそれがある空き家、著しく衛生上有害となるおそれがある空き家について、強制的に対処できる規定が設けられました。
しかし、強制対処はいきなり行われるのではなく、段階的な手順を踏みます。
改善への助言と指導⇒改善がなければ勧告⇒勧告でも改善されなければ命令⇒命令の次は強制対処
改善命令を無視した場合、改善に着手しても不十分な場合、改善が猶予期限までに完了の見込みがない場合のいずれでも、市町村は強制対処が可能です。
強制対処の内容は必要な改善なので、倒壊の危険がない空き家まで強制撤去するようなことはないですが、改善の費用は所有者負担です。
所有者が負担できなくても、市町村が負担してその費用を所有者に請求します。
措置2: 固定資産税の特例対象からの除外
「特定空家等」に対する市町村の改善勧告があると、土地に対する固定資産税の特例(優遇措置)から除外され、土地の固定資産税が大幅に増額されます。
住宅用地における固定資産税の特例
住宅の敷地 | 固定資産税 | 都市計画税 |
200㎡までの部分 | 1/6に軽減 | 1/3に軽減 |
200㎡を超える部分 | 1/3に軽減 | 2/3に軽減 |
「改善勧告」があると上記の特例がなくなってしまいます。
措置の対象になる「特定空家等」とは?
空き家対策法はすべての空き家を措置の対象にしておらず、次のように周辺への影響が大きい空き家を「特定空家等」と定義しています。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「特定空家等」に該当するかどうかがカギ
明らかに「特定空家等」に該当する空き家を除くと、「特定空家等」の判断は市町村(実際には市町村に設置された協議会)がするので、所有者は判断を待つことになります。
基本的には、単に長期間住んでいないだけで管理された空き家は措置の対象外です。
また、売却や賃貸を予定している空き家でも、売主や借主に引き渡すからには、管理されていて当然なので、売却や賃貸予定が管理責任を免れる理由にはなりません。
行政指導を避けるには管理・活用する
現在は問題ない空き家でも、やがては「特定空家等」に分類され、いずれ行政指導や命令の対象になることは避けられない問題です。
そして、人が住まない家は劣化が進みやすく、定期的な管理を必要とします。
これらを踏まえると、少しでも劣化を遅らせ、管理していることを市町村に示すために、管理代行サービスの必要性も認識されてきています。
賃貸や売却も視野に入れて総合的な判断を
まだ使える家が残っているなら、賃貸することで借主が管理してくれますし、価格が下がる前に売却してしまうのも手です。
残しておいても税負担が増える上に、強制対処となっては結局自己負担です。
また、解体して更地にしてしまえば空き家ではないのですから、所有者の管理責任は段違いに軽減され、同時に行政指導の対象から外れます。
「特定空家等」に該当すると思われる場合は、面倒なことになる前に、とりあえず補助を受けて解体しておくのも有効です。
空き家対策法、いかがだったでしょう?
誤解されがちな、空き家対策法 = 強制撤去、という内容では決してありません。
同じ程度の空き家でも、その危険度や周辺の生活環境に与える影響が異なれば、必然的に自治体が取るべき措置や優先度が変わるということです。
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